※外国人社員の社会保険加入要件の判定や、脱退一時金に関する従業員向けの説明資料作成なども承っております。
「外国籍の社員でも、社会保険に入らなければなりませんか?」
「留学生のアルバイトなら、年金は払わなくていいですよね?」
これらは、外国人雇用を始めたばかりの企業から非常に多く寄せられる質問です。 結論から申し上げますと、社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務に、国籍は一切関係ありません。 日本人も外国人も、要件を満たせば加入は「義務」となります。
しかし、週の労働時間や企業の規模によっては加入の判断が複雑になるケースもあります。また、外国人の場合は「ビザの更新」に直結するため、手続きのミスは許されません。 今回は、外国人社員の社会保険加入条件について、正社員とパート・アルバイトの違いを中心に解説します。
1. 原則:国籍問わず「日本で働くなら加入義務あり」

日本の社会保険制度は、日本国内で就労するすべての人に適用されます。 「外国人だから」「数年で帰国するから」という理由は、加入を拒否する正当な理由にはなりません。
- 健康保険: 病気や怪我の際に3割負担で医療を受けられる。
- 厚生年金: 将来の年金や、障害を負った際の保障。
これらはセットで加入するのが基本です。未加入が発覚した場合、過去2年間に遡って保険料を徴収されるリスクがあります。
2. 正社員(フルタイム)の場合

正社員として雇用する場合、即時加入が必須です。 これは試用期間中であっても変わりません。入社日から5日以内に「資格取得届」を年金事務所(または事務センター)に提出する必要があります。
また、在留資格が「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザである場合、入管へのビザ更新申請時に「健康保険証の写し」や「課税証明書」の提出を求められることが増えています。社会保険の未加入は、ビザの不許可(更新拒否)に直結する重大なリスク要因となります。
※2024年以降、入管法改正等の流れで、社会保険料の支払状況は非常に厳しくチェックされるようになっています。「バレなければいい」が通用しなくなっている点に注意が必要です。
3. パート・アルバイト(留学生・家族滞在)の場合

判断に迷うのが、留学生や家族滞在ビザで働くパートタイム従業員です。 彼らの場合、労働時間や月収によって加入義務の有無が変わります。
① 「週30時間以上」なら原則加入
正社員の労働時間(一般的に週40時間)の「4分の3以上」働く場合、つまり週30時間以上勤務するパートタイマーは、国籍や企業規模に関わらず加入義務が発生します。
※留学生の資格外活動許可は「週28時間以内」のため、留学生がここに該当することは法律上不法就労となります。一方で、「家族滞在」「定住者」「永住者」にはこの基準が適用されます。
② 「週20時間以上」でも加入が必要なケース(重要)
法改正により、以下の条件をすべて満たす場合は、週20時間以上の勤務でも社会保険への加入が必要になります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 週の所定労働時間が20時間以上 |
| 2 | 月額賃金が8.8万円以上(残業代・交通費除く) |
| 3 | 2ヶ月を超える雇用の見込みがある |
| 4 | 学生ではない(※留学生などの昼間学生は対象外) |
| 5 | 従業員数が51人以上の企業 |
4. 外国人特有の「脱退一時金」と「社会保障協定」
外国人社員から「掛け捨てになるから払いたくない」と言われた場合、以下の制度を説明して説得しましょう。
① 脱退一時金(帰国時にお金が戻る)
厚生年金に6ヶ月以上加入していた外国人が、受給資格期間(10年)を満たさずに帰国する場合、支払った保険料の一部が「脱退一時金」として返還されます。2021年4月から支給上限が5年に引き上げられたため、強力な説得材料になります。
② 社会保障協定(二重払いの防止)
日本と「社会保障協定」を結んでいる国の場合、母国の年金制度に加入し続けていることを証明できれば、日本の厚生年金の加入が免除されるケースがあります。
まとめ:コンプライアンスは「ビザ」のためにある
外国人雇用において、社会保険の手続きは単なる福利厚生ではありません。従業員が日本に居続けるための「在留資格」を守るための必須条件です。
正しいルールを理解し、入社時にしっかりと説明・加入手続きを行うことが、長期的な定着につながります。社会保険加入に伴うコストシミュレーションや、外国人社員への説明代行が必要な場合は、お気軽にプロまでご相談ください。





