「仕様をフィックス(Fix)してください」
「来週のリリースに向けて、サイトをバージョンアップ(Version up)します」
日本のIT現場では当たり前に飛び交うこれらの言葉。しかし、外国人エンジニアにそのまま英語のつもりで伝えると、全く違う意味で捉えられたり、ポカンとされたりすることをご存知でしょうか?
日本のIT用語は、独自に進化した「和製英語」の宝庫です。今回は、現場でトラブルの元になりやすい「通じない和製英語」と、正しく伝えるための言い換えリストを解説します。

1. 誤解の王様「Fix(フィックス)」の罠

最も危険なのがこの言葉です。日本の現場では「修理」と「確定」の両方の意味で使われますが、英語圏では「修理」が一般的です。
- 日本の意味: ①修理する(バグ修正) ②確定する(日程固定など)
- 本来の英語: 修理する(Repair)
【正しい伝え方】
「確定する」と言いたい時は、Finalize や Decide を使いましょう。
× Please fix the specification.(仕様書を直して/確定して)
○ Please finalize the specification.(仕様書を確定させて)
2. 実は通じない? 頻出「和製IT英語」変換リスト

日常的に使いがちな言葉も、実は和製英語であるケースが多いです。
開発・運用編
| 日本語(カタカナ) | 日本での意味 | 正解(伝わる英語) |
|---|---|---|
| バージョンアップ | 更新・改良 | Upgrade / Update |
| スキルアップ | 能力向上 | Improve skills |
| ブラインドタッチ | キーを見ない入力 | Touch typing |
| ヒアリング | 要件を聞くこと | Ask / Interview |
| カットオーバー | 本番稼働 | Go live / Launch |
ビジネス・会議編
| 日本語(カタカナ) | 日本での意味 | 正解(伝わる英語) |
|---|---|---|
| リ・スケ | 日程変更 | Reschedule |
| アサイン | 担当にする | Join / Allocate |
| クレーム | 苦情 | Complaint |
| NG | ダメ・不可 | Not good / Rejected |
3. その表現、失礼かも?「Please」の使いすぎに注意

丁寧なつもりで全ての指示に “Please” をつけると、文脈によっては「〜しなさい(命令)」と冷たく響くことがあります。
依頼する時は、クッション言葉を使いましょう。
- × Please change the code.(コードを変えろ)
- ○ Could you update the code?(コードを更新してくれませんか?)
- ○ I would like you to fix this bug.(このバグを直してほしいのですが)
4. 「伝わったか確認」するまでがコミュニケーション

「Yes」と言われても、実際には聞き取っただけという可能性があります。誤解を防ぐために「パレフレーズ(自分の言葉で言い換えてもらう)」を取り入れましょう。
指示を出した後に、こう付け加えてください。
「念のため、あなたの理解したタスク内容をチャットで送ってくれますか?」
(Could you please summarize your understanding in the chat just in case?)
まとめ:カタカナを捨てて「中学英語」へ
外国人エンジニアと働く際は、カッコいい横文字を使うのをやめ、誰にでもわかる平易な中学英語(Join, Decide, Plan…)に置き換える意識を持ちましょう。それだけで、バグやスケジュールの認識ズレは劇的に減らすことができます。





