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海外から直接採用するリスクとは?「呼び寄せ」vs「国内在住者」のコスト・手間比較

外国人エンジニアを採用する際、大きく分けて2つのルートがあります。

一つは、すでに日本に住んでいる外国人を採用する「国内採用」。 もう一つは、海外(ベトナムやインドなど)に住んでいる外国人を日本へ呼び寄せる「海外採用(呼び寄せ)」です。

「現地から直接採用した方が、給与も紹介料も安く済むのではないか?」

そう考える経営者も多いですが、そこには「見えないコスト」と「特有のリスク」が潜んでいます。

今回は、開発委託(オフショア)ではなく、あくまで自社の社員として雇用する場合の「海外採用 vs 国内採用」を徹底比較します。

1. 比較の全体像:安さの「海外」、早さの「国内」

まずは、両者の特徴をざっくりと把握しましょう。

  • 国内採用: 留学生や、すでに他社で働いている転職組。日本の生活に慣れており、日本語もある程度通じます。
  • 海外採用: 母国に住んでいるエンジニア。候補者数が比較的多い傾向がありますが、日本の商習慣や生活には不慣れです。

2. コスト比較:海外採用は「初期費用」が意外とかかる

「海外採用の場合、給与水準が日本市場より抑えられるケースもあります」というのは事実ですが、採用にかかるトータルコストで見ると、差は縮まりつつあります。

国内採用のコスト構造

  • 紹介手数料: 年収の30〜35%(一般的)
  • 給与: 日本の相場通り(高め)
  • 渡航・引越費: 基本的に自己負担(0円)

海外採用(呼び寄せ)のコスト構造

  • 紹介手数料: 年収の20〜30%(少し安い場合がある)
  • 給与: 現地相場よりは高いが、日本相場よりは抑えられる(安め)
  • 渡航費・初期費用: 会社負担が一般的
    • 航空券代:5〜10万円
    • ビザ申請代行費:10〜15万円
    • 初期滞在費(マンスリーマンション等):10〜20万円
    • 家具家電の準備:5〜10万円

結論:
海外採用は、紹介料やランニングコスト(給与)は抑えられますが、入社時に50万円前後の「見えないコスト(渡航・生活セットアップ費用)」が会社負担として発生します。これを加味して比較する必要があります。

3. リスクと手間の比較:最大のリスクは「入国前の辞退」

コスト以上に重要なのが、リスクと人事担当者の負担(工数)です。

リスク①:リードタイム(入社までの期間)

  • 国内採用: 内定から1〜2ヶ月で入社可能。(ビザ変更手続きのみ)
  • 海外採用: 内定から3〜6ヶ月かかる。(COE交付申請〜ビザ発給〜入国)

海外採用の場合、プロジェクト開始に間に合わないリスクが常にあります。

リスク②:内定辞退(Ghosting)のリスク

海外採用における企業にとって大きなリスクの一つは、「ビザ申請中の数ヶ月間に、現地で別の会社に就職してしまう」ことです。

日本への入国を待っている間に、現地の給与が良い企業からオファーを受けたり、家族の反対にあったりして、直前で辞退となるケースもあり、企業によっては一定数発生することがあります。

リスク③:生活立ち上げの負担(HR工数)

国内採用者はすでに住居も銀行口座も持っていますが、海外採用者は「ゼロ」からのスタートです。

  • 住居探し(外国人可の物件探し)
  • 住民登録、銀行口座開設の同行
  • 携帯電話の契約
  • ゴミ出しルールの説明

これらをすべて人事担当者がサポートしなければなりません。この工数は企業によっては大きな負担になる場合があります

4. 【比較表】どっちを選ぶべき?

比較

比較項目国内在住者(Domestic)海外呼び寄せ(Overseas)
採用難易度高い(競合が多い)低い(母数が無限にある)
給与水準日本の相場(400万〜)少し抑えられる(350万〜)
入社までの期間短い(1〜2ヶ月)長い(4〜6ヶ月)
ビザ手続き簡単(変更申請のみ)複雑(認定証明書が必要)
日本語力ある程度期待できる入社時点では初級レベル(N4〜N3)の場合も多い
文化摩擦リスク低い(日本慣れしている)高い(カルチャーショック)
人事の工数少ない非常に多い(生活支援必須)

5. 戦略的アドバイス:フェーズによる使い分け

戦略

どちらが良いかは、貴社の「フェーズ」と「採用人数」によります。

「国内採用」を選ぶべき企業

  • 初めて外国人エンジニアを採用する
  • 人事担当者がおらず、現場マネージャーが兼務している
  • 今すぐ(3ヶ月以内に)人が欲しい
  • 日本語でのコミュニケーションを重視する

「海外採用」を選ぶべき企業

  • 10名以上のエンジニアをまとめて採用したい(国内では枯渇しているため)
  • AI、ブロックチェーンなど、国内で見つからない特定のハイスキルが欲しい
  • 社内に英語を話せるブリッジSEや、サポート担当者がすでにいる
  • 半年後のプロジェクトに向けた採用である

まとめ:最初は「国内在住者」から採用を始める企業も多く、比較的スムーズに導入できるケースが多いです。

コストダウンを狙っていきなり「海外採用」に手を出すと、ビザの手続きや生活サポートの負担に耐えきれず、現場が疲弊して失敗するケースが多いです。

まずは「国内在住の外国人」を採用して、外国人受け入れの土壌(マネジメントや文化理解)を社内に作ること。

その上で、さらなる拡大が必要になった時に、豊富なタレントプールを持つ「海外採用」にチャレンジするのが、最もリスクの低い成功ルートです。

この記事の著者
海外人材採用・定着支援HRアドバイザーKN

海外人材採用・定着支援HRアドバイザー

KN

私は海外人材領域において、採用成功だけでなく入社後の「定着・戦力化」までをゴールに支援するHRアドバイザーです。特定技能・技人国などの制度理解に加え、現場の受け入れ体制やコミュニケーション環境といった実務課題も踏まえ、企業ごとに最適な提案を行ってきました。これからも採用計画の設計から入社前後フォローまで一貫して伴走し、ミスマッチを防ぎ継続採用と組織力強化に貢献していきます。